こんにちは、二児の娘の育てるパパブロガーのひろゆきです。
娘から受けた“夜の相談”を通じて学んだ、親の関わり方と子どもの成長の物語
ある夜の静かな呼びかけ
夕食とお風呂を終えて寝る前の時間。いつもなら学校の出来事を楽しそうに話してくれる長女が、この日は少し元気がありませんでした。布団を敷いていると、彼女が小さな声で「パパ、ちょっと話してもいい?」。その目には、薄く涙がにじんでいました。
ゆっくりと横に並んで座り、「どうした?」とだけ伝えて、あとは娘のペースに合わせます。数拍の沈黙のあと、ぽつりぽつりと、今日あった出来事が語られ始めました。
まずは事実をいっしょに整理する
話の要点はこうでした。仲のよい友達と、その日ちょっとした言い合いになり、互いに意地を張ってしまったこと。最初は些細なところから始まったやり取りが、気がつけば心に刺さる言葉になっていたこと。小学生といえども、言葉は鋭く、関係は大人が思う以上に繊細です。
親としてできるのは、先回りして評価や結論を下さず、「何が起きたのか」を一緒に順番に並べ直すこと。事実と気持ちを分けて語るだけで、子どもは自分の頭の中を整理しやすくなります。
親として“最初に”やることは、聴くこと
解決策より先に必要なのは、否定しないで聴き切ること。私は「それは嫌だったね」「その一言、痛かったよね」と短い相槌で、気持ちを言葉にして返しました。これを心理学では“感情のラベリング”とも呼びますが、難しい理屈は要りません。目の前の我が子の心に寄り添うだけです。
「でもね」と続ける前に、いったん止まる。忠告や教えよりも、わかってもらえたという実感が、子どもにとっていちばんの安心になります。
「謝る」のは悔しい――それでも前に進む合図
しばらく話したあと、娘は「私から謝るのは悔しい」と言いました。まったくその通り。大人でも同じです。そこで私は、自分の仕事での失敗談を素直に共有しました。誤解を招く言い方をしてしまい、相手が傷ついたこと。自分から一言「昨日は言い方がよくなかった。ごめん」と伝えたら、むしろ関係が良くなったこと。
謝ることは、負けや屈服ではありません。関係を大事にしたいという意思表示であり、勇気の証でもあります。娘は少し黙って考え、「明日、ちゃんと話してみる」と小さくうなずきました。
明日への小さな作戦会議
翌日に向けて、具体的な行動を一緒に考えました。ポイントは“短く・素直に・具体的に”。
- 伝え方をシンプルに:「昨日、言い過ぎたところがあった。ごめん」
- 気持ちを一言足す:「本当は仲良くしたい」
- 提案で終える:「今日の放課後、少し話せる?」
この3点セットなら、緊張していても口にしやすく、相手にも届きやすい。さらに、相手の言い分を最後まで聴くことを約束しました。
トラブルの翌日こそ大切なフォロー
朝の支度をしながら、私は「今日、話すときはゆっくりで大丈夫」とだけ声をかけました。帰宅した娘は、照れくさそうに微笑みながら「ちゃんと話せた」と報告。全部が一度で完璧に解決するわけではないけれど、自分で一歩を踏み出せたことこそ何よりの成長です。
その夜、私は心のなかで大きく「ありがとう」。話してくれたこと、頼ってくれたこと、そして自分で進んだこと。親としての喜びは、こういう小さな瞬間に宿るのだと思います。
わが家のミニルール(再発防止のために)
- ① 相手を傷つける言葉は使わない。「なんでできないの」より「どうしたらうまくいくかな」。
- ② 感情が熱いときは“いったん休憩”。深呼吸を3回、30秒待ってから言葉にする。
- ③ 困ったら大人に相談。先生や親に“事実”だけを伝える練習をしておく。
- ④ 仲直りの合図を決めておく。メモ、絵、スタンプなど、言葉が出にくい時の代替手段。
親子でできる“言い換え”練習
家でのミニワークとして、次の“言い換え”ゲームが役立ちました。ネガティブな言い方を、事実+気持ち+提案に変換します。
- 「遅い!」→「約束の時間を過ぎて心配した。次は何分に集合にしようか?」
- 「もう知らない!」→「今は気持ちが乱れてる。少し休んでから話を続けたい」
- 「ムカつく!」→「その言葉は刺さった。別の言い方にしてもらえる?」
繰り返すうちに、ケンカの“入り口”がやわらぐのを親子で感じられるようになります。
よくある質問(Q&A)
Q1. うちの子は何も話してくれません。どうすれば?
無理に聞き出さず、話せる“場”を整えることから始めましょう。寝る前の暗い部屋、並んで座る帰り道、共通の作業(洗い物・折り紙)など、目を合わせすぎない環境が有効です。「いつでも話していいよ」と、合図の一言を積み重ねておくのも効果があります。
Q2. 先に謝らせると“損”を覚えませんか?
「損か得か」ではなく、自分を大切にしつつ関係も大切にする力を育てる、と伝えています。事実と気持ちを分けて説明すること、相手の話を最後まで聴くこともセットにしましょう。
Q3. 相手の子の言葉が明らかに強い場合は?
無理に二人だけで解決させず、先生や大人に事実を共有します。相手を責める表現は避け、「今日、こういうやり取りがあり困っている」と伝えるだけで十分です。
Q4. 親同士が直接話すべき?
ケースバイケースですが、感情が高ぶっている時の直接交渉は避けるのが無難です。まずは学校を通じた場を利用し、落ち着いてから必要に応じて短時間・一点集中で話しましょう。
まとめ:話してくれて、ありがとう
- 最初にやるのは“聴くこと”――解決より先に安心を。
- 謝ることは勇気の表明――関係を大切にしたい合図。
- 小さな作戦を一緒に作る――短く、素直に、具体的に。
- 翌日のフォローで学びを定着――できた一歩を一緒に喜ぶ。
子どもが悩みを打ち明けてくれる時間は、親にとって何よりのご褒美。これからも「困ったらパパに話そう」と思ってもらえる存在でいられるよう、日々の小さな対話を重ねていきたいと思います。
本記事が、どこかのご家庭の“今夜の対話”の一助になれば嬉しいです。
